PCパーツには何がある?役割や選び方をまとめて解説【パソコン初心者向け】
日常的に使っているパソコンが「どんなパーツで出来ていて」「どんな風に動いているか?」を理解している方は少ないと思います。
実際のところパソコンは中身を知らなくても使える道具ですが、とはいえPC作業や購入などの場面においては、仕組みが分からないことで問題が解決できない、あるいは判断がつかない事もあります。
そこで今回は、パソコンに搭載されているPCパーツの役割を網羅的に解説、このほか購入やカスタマイズで役立つパーツ選びのポイントも紹介します。
▼この記事で分かること
- パソコンに搭載されているPCパーツ4つ
(CPU・メモリ・ストレージ・グラフィック) - PCパーツのスペックの見方について
- PCパーツの選び方のポイント
▼この記事を書いたひと
フリーランスみやしも(@miyashimo_blog)です。プログラミングやWebサイト制作に関するITの情報を幅広くお届けしていきます。
PCパーツ①:CPU
CPUはパソコンの動作速度に大きく関係し、人の"頭脳"にも例えられる重要なPCパーツです。ここではCPUの役割やスペックの見方、目的別のCPUの選び方について詳しく解説します。
CPUの役割・性能について
CPUとは"Central Processing Unit"を略した言葉であり、パソコンのあらゆる制御・演算を担当する部品です。日本語では"中央演算処理装置"などとも表現されます。
CPUは具体的には次のような形をしており、パソコンにはマザーボードと呼ばれる基盤の上に設置される形で搭載されています。
パソコンの動作においてCPUは、OS・アプリの実行に必要なプログラムを処理したり、接続された外部機器を制御するといった形で多くの役割を担ってゆきます。
例えば電源のON/OFFを行う、マウスを使ってカーソルを動かす、キーボードを使って文字を入力する、ファイルを表示させたり編集する、といったパソコンで行われる一連の動作は、いずれもCPUの制御・演算によって実現されています。
このようなパソコンの中核ともいえるCPUは、パソコンの動作速度にも大きく影響するパーツです。CPUの性能についてイメージしづらい方も居るとも思いますが、CPUの性能は人の『頭脳』に例えると理解しやすくなります。
CPUも人の頭脳と同じように考えることができ、基本的にはCPUが高性能であるほどパソコンは一度にたくさんの事を処理したり、すばやく動作することが可能となります。
CPUのスペックの見方は?
パソコンに搭載されるCPUのスペックは、いずれもパソコンのシステム画面や製品カタログなどに記載されている、CPUの表記から判断することができます。
上記の通りCPUの表記は複数の文字列から構成されています。一見すると何がなにやら..といった感じですが、次のような"メーカー"や"ブランド"などの要素に分解してゆくと読み解くことができます。
▼CPUスペックの見方
①メーカー | CPUを製造したメーカー名。大きく"intel(インテル)"社と"AMD(エーエムディー)"社の2つが存在します。 |
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②モデル |
各社が展開するCPUのブランドやシリーズを含む情報。CPUブランドにおいて、intel社は"Core(コア)"、AMD社は"Ryzen(ライゼン)"がそれぞれ代表的です。またシリーズは基本的に数字が大きければ大きいほど高性能です。 例)Core i7、i5、i3、Ryzen 3、5、7 |
③型番 |
各シリーズにおける具体的な型番。CPUの"世代"や"種類"などの情報も含まれます。基本的には世代数を含む、全体の数字が大きいほど高性能です。 例)i7-8700=第8世代、i7-10700=第10世代 |
④クロック周波数 | CPUが1秒間に何回動作できるかを表す。GHz(ギガヘルツ)という単位で表現され、基本的にはクロック周波数が高いほど処理スピードが速くなります。 例)3.7GHz |
※CPU表記における各要素の名前は、書籍や記事によって異なる場合もございます。
上記でも登場した「Intel Core i7-8700K 3.70GHz」のCPU表記だと、メーカーは"intel"、モデルは"Core i7"、型番は"8700K"、クロック周波数は"3.70GHz"だと判断できます。
そこで引き続き、CPU選びのポイントを解説してゆきます。
CPU選びのポイント
CPUはブランドやシリーズを含む「モデル」から、おおよその価格や性能、もしくは対応できる作業が判断できます。
ここで主要なCPUメーカー『intel(インテル)』『AMD(エーエムディー)』における、代表的なCPUモデルのラインアップを紹介します。
上記の表を参考に、自分が行うPC作業で必要になるCPUを検討してみましょう。
また上記にもある通り、intel社なら「Core i5」が、AMD社なら「Ryzen 5」が個人利用のパソコンにおける平均的なスペックのCPUです。
このほかAmazonなどのショッピングサイトや、各オンラインPCショップでは、CPUのモデルからパソコンを検索することができます。
このためCPUのモデルから検索を行えば、自分に必要なパソコンのおよその予算感を知ることもできます。パソコンの新規購入にあたって価格帯がきになる方は、上記の方法で調べてみましょう。
PCパーツ②:メモリ
メモリとはCPUが処理するデータを一時的に記憶するPCパーツです。CPUに次いでパソコンの動作速度に影響するパーツであり、基本的にはメモリの搭載量が多ければ多いほど、パソコンは快適に動作できます。
ここではそんなメモリの役割や購入時のポイントを順番に解説します。
メモリはどんなPCパーツ?
メモリはCPUが処理を実行するために、データの一時的な保存場所として利用されるパーツです。
一般的にメモリと呼ばれることの多いパーツですが、正確には"Random Access Memory"であり、略して『RAM(ラム)』とも呼ばれます。また日本語では"主記憶装置"あるいは"メインメモリ"とも表現されます。
メモリは具体的に次のようなカード型のパーツであり、1枚あたりおよそ2GB以上の容量を持ちます。またメモリは"揮発性メモリ"となっており、電源が切れると作業に使っていたデータは全て消えるという特徴もあわせ持ちます。
メモリはマザーボード上の専用スロットに、1枚から複数枚に分けて搭載されます。またPCの仕様にもよりますが、マザーボードに空きスロットがある場合は後からメモリを増設することもできます。
メモリの役割や性能について
パソコンの動作においてメモリは、同じパソコン内部の"CPU"から必要とされる存在です。
具体的には"CPU"がプログラムの処理を進めるための一時的なデータの置き場所、あるいはストレージにデータを保存するためのデータの受け渡し役といった形で機能します。
このうえでは、パソコンが搭載するメモリが多ければ多いほどCPUが一度に処理できるデータ量は多くなります。
そんなメモリの役割は"作業する机の広さ"に例えると分かりやすく理解できます。
例えば『広い机』では、一度にたくさんの書類や筆記用具が机に並べられるため作業が捗りやすくなります。
一方で『狭い机』だと、作業を変えるたびに道具を片付ける必要があり作業が捗りづらくなります。
メモリ選びのポイント
メモリの必要性はパソコンの利用目的によって大きく変わります。
このためパソコンに搭載すべきメモリ容量は「どんな作業を行うか?」という目的から逆算すると考えやすくなります。メモリ容量と作業内容とのおよその関係は以下の様になります。
▼メモリ容量と作業内容
2GB |
現在では低水準なメモリ容量。格安のノートPCに搭載されている事がありますが、Windows11は動作できないスペックなのでご注意下さい。 |
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4GB | やや低スペックなメモリ容量。インターネットなどの一般的な用途では充分に使えますが、複数のアプリを同時に稼働させるとメモリ不足になりがちです。PCゲームや動画編集には向かないスペックだと言えます。 |
8GB | 多くの作業が快適にこなせる標準的なメモリ容量です。例えば表計算や文章作成などのアプリを同時に稼働させても安定して動作します。PCによっては簡単な動画編集、ライトなPCゲームを行うことも可能です。 |
16GB | 高水準なメモリ容量です。多くのメモリが必要になるHD画質の動画編集や、3DのPCゲームにも十分対応できます。 |
32GB |
4K画質の動画編集や、最新のPCゲームを快適にプレイできる高水準なメモリ容量です。個人でも所有できますが高価です。クリエイターなどが仕事で使うスペック。 |
64GB | 4K、8K画質の動画編集をはじめ、あらゆる作業に対応できる最高水準のメモリ容量です。64GBのメモリを搭載したPCは、より高額なプロ向けの機材だと言えます。 |
以上を参考にしつつ、パソコンに必要なメモリ容量を検討してみましょう。
また上記にもある通り、現在では「8GB」が平均的なメモリ容量です。このため「メモリ容量が選びづらいな...」という方でも、ひとまず8GBを選んでおけば、より多くの作業に対応しやすくなりますよ。
PCパーツ③:ストレージ
ストレージはパソコンで利用する様々なデータ・ファイルを保存するPCパーツです。
ここではパソコンの動作におけるストレージの役割や、ストレージの種類、選び方を順番に解説します。
ストレージはどんなPCパーツ?
ストレージはパソコンで利用するデータやファイルを保存するために使われるPCパーツです。
ストレージは"HDD"や"SSD"といった2つの種類に分かれ、いずれもパソコン内部に組み込まれています。それぞれの特徴やメリット・デメリットは後述しますが、基本的にはSSDの方が読み書きが早くより高性能です。
ストレージは種類や規格によってサイズが異なるものの、部品としての重さがあることからマザーボードにはコードのみが繋がれおり、本体は別の専用ケースに収納されています。
ストレージの役割・性能について
パソコンの動作においてストレージは、PC上で利用される全てのデータ・ファイルを保存するために必要な存在です。ストレージに保存される情報としては次の様なものがあります。
▼ストレージに保存される情報
- OS・・・WindowやMacなどのシステムの情報
- アプリ・・・Officeなどのソフトウェア、PCゲームなど
- ファイル・・・写真や動画、テキストなど
またストレージに保存されたファイル・データはPCの電源を落としても消えることはなく、永続的にデータを保持し続けることが可能です。
そんなストレージの性能は、大きく次の2つの要素から決まります。
▼ストレージの性能が決まる2つの要素
- その①:データ・ファイルを収納できる容量
- その②:データ・ファイルの読み書きの速さ
ひとつはストレージの容量です。ストレージの容量は"GB"や"TB"で表現され、基本的には容量が多ければ多いほど、たくさんのデータ・ファイルを収納することができます。
もう一つはストレージに対する読み書きの速さです。ストレージに格納された情報はCPUから利用されますが、このうえでは読み書きの速さがCPUの処理速度、ひいてはパソコンの動作性能に影響を及ぼします。
以上に解説してきたストレージの性能は"机の引き出し"に例えると分かりやすく理解できます。
ストレージも同じく、沢山のデータ・ファイルが格納できたり、格納されたデータ・ファイルの読み書きが早いほど性能的に優れていると言えます。
ストレージの種類①:HDD
HDDは"Hard Disk Drive(ハード・ディスク・ドライブ)"を略した言葉であり、内部にもつ円盤状の磁気ディスクを使ってデータの読み書きを行います。
ストレージの種類②:SSD
SSDは"Solid State Drive(ソリッド・ステート・ドライブ)"を略した言葉であり。USBメモリーと同じように、内蔵の半導体メモリに対してデータの読み書きを行います。
ストレージ選びのポイント
現在の多くのパソコンではSSDが標準的に採用されており、容量はおよそ64GB、128GB、256GB、512GB、1TBといった単位に分かれています。
この上でもストレージの容量は「どの様なファイルをどれくらい保存するか?」といったパソコンの使い方や、必要性から逆算すると考えやすくなります。ストレージ容量と適した用途との関係は以下の様になります。
▼ストレージ容量の目安
64GB | 安価なノートPCなどに搭載される必要最低限のストレージ容量。現在の水準では、動画や写真などのデータ保存には向かないスペックです。 |
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128GB |
ノートパソコンの標準的なストレージ容量。使い方にもよりますが、動画などの大容量のデータ保存にはやや不安が残るスペックです。 |
256GB | ノートパソコンの標準的なストレージ容量。アプリを複数インストールしたり、ある程度のファイル保存にも利用できるスペックです。 |
512GB | 多くのパソコンで採用される標準的なストレージ容量。沢山のアプリやゲームを利用したり、動画データの保存などを行ってもある程度余裕を持って使うことができます。 |
1TB以上 | 高性能なPCに搭載されるストレージ容量。大量の動画データや音楽データ、このほかPCゲームなどをインストールしても十分に余裕をもって利用できるスペックだと言えます。 |
以上を参考にしつつ、パソコンに必要なストレージの容量を検討してみましょう。
またストレージ容量は"外付けハードディスク"や"USBメモリ"となどの外部機器、あるいはGoogleドライブやDropBoxといった"クラウドストレージ"などのWebサービスと兼用することで補うことも可能です。
PCパーツ④:グラフィックス
ここからはパソコンの"グラフィック処理"に関するPCパーツを紹介します。
グラフィック処理を行うPCパーツには"GPU"や"ビデオメモリ"が存在し、いずれもPCゲームや動画編集などの用途に大きく関係します。
GPU・ビデオメモリはどんなPCパーツ?
『GPU』や『ビデオメモリ』はいずれも、PCゲームや動画編集におけるグラフィック処理を担うPCパーツです。
▼GPU・ビデオメモリ
①GPU | Graphics Processing Unitの略した言葉で、グラフィック処理専用の演算装置のこと。 |
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②ビデオメモリ | グラフィック処理専用で使われるメモリのこと。VRAMとも呼ばれる。グラフィック処理を効率的に行うために、GPUからのみ利用される。 |
上記のGPU・ビデオメモリは具体的に、"オンボード"または"グラフィックボード"といった形式でパソコンに搭載されています。
▼2つの搭載方法
①オンボード |
マザーボードの基盤やCPUにGPUが内蔵される形式で"内蔵GPU"とも呼ばれる。グラフィック性能は必要最低限に留まり、ビデオメモリは含まれない。低コストであることから、多くのパソコンで標準的に採用される形式。 例)Intel UHD、Radeon VEGA |
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②グラフィックボード | グラフィック性能を大幅に向上させる専用パーツであり、通称"グラボ"とも呼ばれ、他にも「ビデオカード」や「グフィックスカード」等とも呼ばれる。専用の基盤にGPU・ビデオメモリが搭載されたPCパーツであり、マザーボードに接続する形でパソコンに搭載します。 例)GeForce、Radeon |
GPU・ビデオメモリの役割や性能について
GPUやビデオメモリの存在は、いずれもパソコンのグラフィック処理を担うパーツとして、最終的に"ディスプレイにいかにきれいな映像をなめらかに映すか?"に影響します。
GPUは"CPU"と名前が似ているようにグラフィックの演算や処理を行うPCパーツです。基本的にはGPUの性能が優れているほど一度に沢山の画像データが処理できます。このうえでは先述のビデオメモリが多く搭載されているほど、GPUはより効率的に処理を進めることができます。
そんなGPUやビデオメモリが影響するパソコンの用途には、例えば以下のことがあります。
▼GPUが関係するパソコンの用途
- 3D描画を行うPCゲームをプレイする
- 4K以上の高画質動画の再生や編集作業を行う
- デザインツールやイラストソフトを使った画像処理
上記のような用途ではリアルタイムでの3Dグラフィック描画や、高解像度の映像データを処理する必要があり、パソコンにも必然的にグラフィック性能が求められてゆきます。
一方で上記のような用途に該当しない、例えばインターネットや表計算アプリなどの用途においては、グラフィック性能はほとんど求められません。
GPU・ビデオメモリの役割や性能については以上です。今回は引き続き、PCゲームや動画編集で必要性がある"グラフィックボード"に絞ってパーツ選びのポイントを解説します。
グラフィックボード選びのポイント
グラフィックボードを入手するには、グラフィックボードがあらかじめ搭載されたパソコンを選ぶ、あるいは個別に購入する形で入手できます。
またこの上でグラフィックボードは、以下の主要メーカー・モデルから選ぶのが一般的です。
▼主要なグラフィックボード
- ①NVIDIA社・・・『GeForce(ジーフォース)』
- ②AMD社・・・『Radeon(ラディオン)』
1つ目の『GeForce』は搭載されるパソコンが多いメジャーなグラフィックボードです。ラインナップも性能・価格に応じて豊富に用意されており、様々な用途に安定して動作します。
一方で2つ目の『Radeon』は、コスパ面に優れますが価格帯や用途よってはGeForceに性能で劣ることがあります。適切に選ぶには判断能力が求められることから、やや上級者向きのグラフィックボードだと言えます。
またグラフィックボードの性能や価格は各社モデルによって様々ですが、選定にあたっては、自分が利用したいアプリやPCゲーム、もしくはパソコンの利用目的から絞り込む事ができます。
例えばパソコンの"アプリ"や"PCゲーム"の公式HPでは、「動作環境」や「推奨スペック」といった項目に推奨されるGPUの性能や、具体的なグラフィックボードのモデルが記載されています。
またグラフィックボードを搭載したパソコンを販売するPCショップにおいても、PCゲームの"タイトル別"や動画編集などの"目的別"に適したパソコンが紹介されています。
実際にパソコンの販売店では"ゲーミングPC"や"動画編集向けPC"といった形で、あらかじめグラフィックボードが搭載されたPCが販売されてもいます。
この記事のまとめ
今回はパソコンに含まれるPCパーツの役割や選び方について解説しました。
▼PCパーツ
①CPU | パソコンのあらゆる制御・演算を担当するPCパーツ。人の"頭脳"にあたる役割を果たし、CPUの性能がパソコンの動作速度に大きな影響を与えます。パソコンを選ぶうえでは優先して検討すべきパーツです。 |
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②メモリ |
CPUから一時的なデータの置き場所として必要になるパーツ。作業する"机の広さ"に例えられることが多く、メモリ容量が多いほどCPUはより多くの作業をこなせる。CPUに次いでパソコンの動作に関係します。 |
③ストレージ |
パソコンで利用する全ての情報が保存されるパーツ。"GB"や"TB"などの単位で容量が表現され、HDD・SSDの2種類に分類される。机の"引き出し"に例えることができ、ストレージ容量が多いほど沢山のファイルが保存できます。 |
④グラフィック | GPUやビデオメモリなどのパーツを指す。パソコンには"オンボード"型、"グラフィックボード"型などの形で搭載され、PCゲームや動画編集などの用途に大きく影響します。 |
いずれもパソコンを使った作業全般、新しいパソコンの購入・カスタマイズでご活用いただきたい情報です。
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